子供の包茎(ほうけい)とは、おちんちんの先となる包皮口がせまいのが原因で、包皮を剥いて亀頭部分を外に出す事ができない状態のことをいいます。包皮は外板(がいばん)という外側から確認できる皮膚の部分と、先端で内側に折り返している内板(ないばん)からできています。幼児期は包皮口と呼ばれるこの折り返しの部分が狭くなっているのが通常です。成人男性においては包皮が全く剥けないものを真性包茎、剥くことは可能だが通常時は常に包皮が亀頭に被っている状態のものを仮性包茎などと呼ぶこともありますが、以下に紹介している幼児期のおちんちんの成長の過程を考慮すると真性や仮性といった分類方法は子供の包茎においては意味が無いと言えるでしょう。
幼児期の男子は包茎の状態が普通です。逆に亀頭部分の全体が包皮で覆われていない様な場合は、むしろ先天性のおちんちんの異常を疑う必要があります。幼児期は包皮と亀頭表面とが完全には分離されていない状態です。包皮が剥けない状態がどのくらいの期間まで続くのかは個々それぞれによって違いはありますが、基本的に思春期頃までは包皮を完全に剥くことが出来ない男児は少なくないと言えます。
そういう理由から包皮が剥けないと理由で子供の時に包茎手術や何かしら特別な治療を施すということは不必要です。
幼児期における包茎の色々な問題点
■ おしっこをする時の包皮の膨らみ
おちんちんの先端となる包皮口が狭いとおしっこをする時に風船状に包皮が膨らむことがあります。その際、おしっこが思わぬ方向に飛んでしまいトイレを汚してしまういうケースがありますが、それが理由でおしっこの排出が悪くなって、その後の健康状態に影響を及ぼすというような事はありません。
■ おちんちんの先が赤く腫れて痒い(亀頭包皮炎)
幼少期におちんちんの先が赤く腫れて痒いとか痛い、ということを経験したことのある男の子は少なくありません。これは包皮の先端の炎症で亀頭包皮炎と呼びます。この炎症は短期間の塗り薬などで完治します。また軽い症状のものなら温浴などで患部を清潔にするだけでも治ることが多いです。
亀頭包皮炎について詳しくこちら >>
■ 包皮の下の垢(恥垢(ちこう))
幼少期の男子のおちんちんをよく観察すると包皮の下に黄色っぽい脂肪のカスのようなものが確認できる場合があります。これは皮膚の新陳代謝によりできた垢(アカ)であり、これを恥垢(ちこう)といいます。この代謝活動により自然と包皮と亀頭表面の分離が促進され、包皮が剥けやすくなります。成長と共に包皮が剥けてくると恥垢は自然に排出されていくので特別な治療などは不必要です。
子供の包茎における治療の必要性
子供の包茎について治療を必要とする場合は医学的には殆どと言っていいほどありません。これらの理由で納得できる親御さんは医療機関にお子さんをお連れする必要性はありません。子供の包茎治療における理由の多くは風習や宗教上、もしくは親御さまの不安感です。
米国では新生児期~乳児期に多くの男児が包皮を切除する手術を受けています。これは米国社会の風習などによるものの影響が大きく、宗教的な理由とは無関係に新生児の包茎手術を広く行っている国のひとつです。宗教上の理由から新生児期に包茎手術(割礼)を行っていることもあるようです。
包茎と割礼と宗教について詳しくはこちら >>
子供さんの包茎について悩んだり迷ったりするのはお子様ご本人ではなく親御さんです。
色々な国や宗教でも対応が異なることを見てもわかるように、「こうした方が良い」という医療上の定義は全く存在しません。最終的には、我が子に包茎の治療を行うべきかどうかは治療の内容やデメリットなどをよくご理解した上で親御さん側で判断すべきこととなります。
当クリニックでは子供のうちには包茎の手術はお勧めしておりませんが、何度も繰り返して包皮炎を起こしてしまうようなケースの場合には包茎手術をお勧めしています。
繰り返し包皮炎をおこしてしまうとペニスと包皮の癒着が酷くなってしまい、本来の形であれば剥けていたはずの包皮が剥けなくなってしまう恐れがあるからです。
又、思春期を過ぎても包皮が剥けない場合には包茎手術をご検討された方が良いでしょう。 この場合、どのようなケースにせよ、ご自身の判断だけで手術を決めるのではなく専門の医師に相談することが大切です。
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